法人化?個人事業主?自分が起業するならどっちが適しているかをチェック!
「個人事業主として働く」という事が珍しくない現代の日本。
働き方が幅広くなったからこそ選べる働き方ですが、実際どれくらいの数が個人事業主として働いているのか、気になったので調べてみました。
※出典中小企業庁
最新の情報を調べてみたんですけど、2016年が最も最新の情報なのでしょうか。
個人事業主の数がわかるものの最新の情報はこれでした。
この画像から計算してみると、2016年の時点で197.9万人が個人事業主として働いているようです。
現在の詳しい数はわかりませんが、個人事業主は思っている以上に多いようですね。
ただ、個人事業主として数年働いた後に、法人化する場合もあります。
どちらが自分には適しているのか判断するのは難しいところがあると思います。
なので今回はこの件に関してお話していこうと思います!
目次
法人化と個人事業主の違いは?
法人化と個人事業主にはあらゆる違いがあります。
まずは違いから説明していきますね!
法人と個人事業主の違いについて
まずはここを理解していないと話は始まりません。
個人事業主は個人開業であり、その後、事業内容そのまま引き継いだ形で会社を設立する事を法人化と言います。
個人事業主と法人化ではこんな点で違いが出てきます。
費用の違い
個人事業主の場合は、開業届を税務署に提出していれば手続きは完了し、特に申請費用等はかかりません。
一方法人となると、まずは【商業登記】が必要となります。
これにかかる費用は、株式会社だと約24万円、合同会社だと約10万円かかります。
法人として登記するには時間もお金も手間もかかるので、書類の準備から登記申請までで約1週間はかかると思っておいた方が良いと思います。
税金の違い
個人事業主がかかる税金は【所得税】です。
事業で稼いだ分に対して税率が増える「累進課税制度」を採用してる為、所得が増えれば増える程、税率も高くなります。
所得税は最低5%~最高45%の間で、所得によって変わります。
一方で法人の場合だと、【法人税】が課せられます。
法人税はほぼ一律なので、所得税よりは低くなっています。
売上が上がり従業員を増やす場合や、事業の規模が拡大する場合等は法人化する方がメリットとなります。
経費の違い
個人事業主であろうと法人だろうと、収入を得る為に要した支出を収益から控除出来ます。
どちらも経費として落とせる事は落とせるのですが、個人事業主の場合は経費として見なされない場合があるのです。
その理由は何故なのかと言うと、個人の場合は「それが仕事なのかプライベートなのか区分が曖昧になりやすい」という事です。
例えば自宅を事務所として仕事をしている場合、その電気代のいくら分が仕事でいくら分がプライベートかと判断するのは難しいと思いませんか?
請求としては一括で請求がくるので、どこまでを経費とするのかを正確に判断する事が出来ないのです。
その為に使用される按分計算があるのですが、このような手間は法人にはないところですね。
個人事業主から法人化する手続きは面倒?
個人事業主から法人化する手続きは個人で出来ます。
ただ、1から全て自分で行おうと思うと、とても時間も手間もお金もかかります。
全て細かく説明するとかなり長くなってしまいますので、その工程だけ説明しますと…
①会社の基本事項を決定
・商号(会社名)
・会社の目的と事業内容
・本社所在地
・株主や役員構成と報酬額
・資本金額
・決算日
②会社用の印鑑を購入
・代表者印(実印)
・銀行印
・角印
・ゴム印
③定款を作成
会社設立時に作成される重要な法定文書。
④株式会社の場合は定款の認証を受ける(合同会社の場合は不要)
・公証役場で公証人から認証を受ける。
・定款:3部
・発起人全員の3ヶ月以内の印鑑登録証明書:各1通
・発起人全員の実印
・認証手数料:30,000〜50,000円(資本金額によって異なる)
・登記謄本代:250円×定款の枚数(現金のみ)
・収入印紙:40,000円分
・代理人が申請する場合は委任状必須
⑤出資金の払い込みを行う
定款の認証完了後、資本金を発起人の代表者個人の口座に払い込み。
⑥法務局で登記申請
・登記申請書
・登録免許税納付用台紙
・定款
・発起人の決定書
・設立時取締役の就任承諾書
・設立時代表取締役の就任承諾書
・設立時取締役の印鑑証明書
・資本金の払込みがあったことを証する書面
・印鑑届出書
・「登記すべき事項」を記載した書面又は保存したCD-R
⑦登記申請後に法務局で確認・手続きをする
登記完了後、法務局で以下の確認・手続きを行う。
・印鑑カードの取得
・印鑑証明書の交付
・登記事項証明書の交付
以上が、法人化する為の手続きです。
これだけでも結構大変な感じがしませんか?
でもこれで終わりではありません。
実は法人化した後に必要な手続きもあるんです。
そしてもう一つ、個人事業の廃業手続きも行わなければなりません。
今回はここに関してはカットしますが、法人化する為の手続きは、正直未経験だと難しいと思います。
なので法人設立サービスを利用するケースが多いようです。
法人設立サービスとは、会社を設立する時に必要な手続きを全てサポートしてくれるサービスです。
これを利用すると、ガイドに従って入力していくので、書類作成も5分程度で完了します。
慣れない手続きはとても大変だと思いますが、そこに関してもサポートしてくれますので、わからない事があれば頼れる存在かと思います。
そしてもう一つのメリットとして、電子定款で会社設立すると収入印紙代等のコストが削減出来るので利用する方が多いのも納得出来ます。
サポートの金額は会社によって違いがあると思いますし、ある程度までは無料で利用出来たりもするみたいなので、口コミや比較サイトを見てみると良いかもしれません。
個人事業主が法人化するメリットは?
個人事業主と法人化ではどちらが自分に適しているのかを考えるのに、メリットは知っておくべき内容です。
なので今回は法人化するメリットについてお話していきます!
資金調達がしやすくなる
会社を運営していく上で大変な資金調達。
これは金融機関から借り入れをするのが一般的です。
資金調達の面で考えると、僅かながら個人事業主よりも法人の方が借り入れしやすいと言えます。
とは言え、今はもう昔の程の差はありません。
昔は法人設立に必要な資本金は、株式会社で最低1,000万円でした。
有限会社でも最低300万円の資本金が必要だったので、金融機関からの信用が得られやすくなっていました。
けれど現在では資本金1円からでも設立出来るので、どうしても金融機関からの信用は下がってしまいます。
それでも自己資本が多ければ金融機関からの信用度は上がりやすいので、多少であっても個人事業主よりは資金調達がしやすいと思います。
納税額を抑えられる
個人事業主が収めなければならない所得税は、累進課税制度を採用しているので、所得が増えれば増える程高い税金を収めなければなりません。
一方法人の場合は税率がほぼ一律であり、最大で23.2%となっています。
5〜45%の所得税から見ると、半分の税率で済むんです。
ですから所得が増えていくのであれば、法人化した方がメリットとなるでしょう。
欠損金を10年間繰越出来る
あまり聞き慣れない言葉だと思いますが、欠損金とは【事業を営んだ結果として、税法上の所得が赤字になる事】を言います。
この赤字はその後生じた黒字と相殺出来るので、節税に繋がります。
【繰越欠損金制度】を受けるには税務署に対して、事前に「青色申告の承認」を受ける必要があります。
この手間はあるにせよ、この制度はメリットがあると考えられます。
経費で落とせば節税出来る
仕事で必要な支出は個人事業主でも法人でも経費で落とせます。
ただ個人事業主の場合は、プライベートとの判断がつきにくい為、どうしても経費で落ちにくい場合があります。
その点法人ではそういう事がないので、仕事で必要な支出は全て経費で落ちるので、損をする事がありません。
経費で落ちたから得をするわけではありませんが、損をしないという事も会社を運営していく上でメリットとなります。
法人化するべきタイミングは?
法人化を行うべきタイミングというのをご存知ですか?
「こうなったらもう法人にした方が良い」というタイミングはもう既にあるようです。
個人開業をしていて、このようになっているのであれば、それはもう法人化するべきタイミングがきています。
事業の拡大を考えている時
個人で行っていた事業の規模を大きくするには、法人化は避けて通れない道です。
特にこのような状況の場合は、法人化するタイミングがきたと思って良いでしょう。
・法人でなければ契約が出来ない案件がある
・株式を発行して資金調達を考えている
・法人でしか活用出来ない補助金や助成金を利用したい
このような状況になったら、チャンスだと思って法人化を行いましょう。
個人事業の所得が800万円を超えた時
個人事業から法人に切り替えるタイミングは【所得が800万円を超えたら】と言われています。
何故800万円がタイミングとなるのかと言いますと、個人事業主にかかる所得税の税率は23%です。
これが法人税であれば15%で済みます。
例え控除分を差し引いたとしても、800万円を超えると個人事業主の納税金額の方が高くなってしまうのです。
だから一般的に【所得が800万円を超えたら】と言われるわけですね。
売上高が1,000万円を超えた時
個人事業主は、
・2年前の課税売上高が1,000万円を超えた場合
・2年前の課税売上高は1,000万円以下だが、前年の前半6カ月の課税売上高が1,000万円を超えた場合
この2つの条件のどちらかを満たしてしまうと、消費税の課税事業者となってしまいます。
課税事業者になると消費税を納付しなければならないので、【売上高が1,000万円を超えた時】も法人化するタイミングです。
ただ、この納税が義務付けられたタイミングで法人化すると、例え条件を満たしていても最大で2年間は消費税の納税が免除されます。
何故2年間も免除されるのかと言いますと、新設された法人は個人事業主とは異なる格を持つとされるからです。
なので法人を設立した年には“2年前の売上高が存在しない”という扱いになるからです。
この考えからいけば、その翌年も2年前の売上高は存在しない事になります。
なので免税事業者という扱いになり、消費税を納税しなくても良いのです。
ここで一つ注意があります。
それは、法人化する時に資本金を1,000万円未満にする事です。
1,000万円を超えてしまうとこれは適応されませんので、納税義務が発生します。
インボイス制度導入前(2023年9月30日まで)
インボイス制度が開始される2023年10月1日より前に法人化をすると、最大2年間の消費税免除期間が適用されます。
もしインボイス制度が開始された後で法人化しても、免税事業者は適格請求書を交付出来ないのです。
これでは折角の免税期間がメリットにならない場合もありますので、どうせならその前に法人化しましょう。
その他にもインボイス制度が始まると、消費税の申告方法や納付方法が変わります。
なので法人化する予定があるのであれば、早めに法人化することがおすすめです。
最大売上が見込める直前
「折角最大売上が見込めるのに?」と思うかもしれませんが、売上の最高潮のタイミング直前で法人化すると、最大限の節税効果が期待出来るんです。
「同じタイミングじゃダメなの?」と思いましたが、これにも理由があります。
タイミングが重なっても実際は問題はありません。
ただ、売り上げが上昇している時期に法人化すると手続き等で時間も手間も取られてしまい、折角の売上のチャンスを逃してしまう可能性があります。
なのでそこを上手く調整する為にも、最大売上が見込める直前のタイミングがオススメになています。
法人化はどうしても手間も時間もかかるものです。
だからこそ法人化を考えているのであれば、様々なタイミングを見極める必要があります。
LINEで相談やご意見も承っていますので、何か気になる事がありましたらお気軽にご連絡ください^^